sinkope is not kind of paradoxical existence

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柳川

実は以前、出張で柳川を訪れたことがあります。その時は福岡から西鉄にのり、「贈る言葉」や「赤いスイートピー」などの駅到着オルゴールを聴きながら柳川まで電車に揺られたのでした。そういえばあん時ぁ打ち合わせだけで具体的な作業はなかったのに、現地の営業の人とかが柳川で鰻のせいろ蒸しおごってくれたり大宰府までドライブしてくれたんだっけかなぁ。東さんとか山田さんとか元気かなぁ?(実名出すなよ>ワシ
さてそれはそれとして、柳川。ここではワシらもオプションを選択しております。柳川でオプションといえば、そう、川下りです。ここ柳川は堀を縦横に巡らせた城下町であり、今ななき城はかつて難攻不落の要塞であったといういわくがあるのですね。敵がせめて来たら町ごと水を張ってしまい、敵の足を鈍らせるんだそうで。
さてオプション非選択組に先んじてバスを降りた我々は、川下り発着所の待合所に通されました。概ね1時間程度の遊覧とのことなので、子供達にもしっかりトイレに行かせておきます。ちなみに柳川では本日まで「さげもん祭り」であったそうで、待合所にも雛壇が飾られておりました。

船は2つにわけられ、一艘20人弱が乗り込むようになりました。ワシら一行は後発の同じ船ではありますが、ワシと次男が比較的前方より、残りのメンツは後方の船頭さんのそばに陣取りました。乗船は柳川駅に比較的近い場所ではありますが、降船するのは別の場所とのこと。乗らない添乗員さんは「わたしは先に走って行ってまーす」と別行動。
我々の船の船頭さんはアリシアさんのような妖精超ベテランのおじいさんという風ではなく、比較的若い方の部類(でもワシと同じくらい?)の方でしたが、「どんこ船」を漕ぎながら福岡弁で語る口調は軽妙で面白く、静かな柳川の風情と相まって非常に味わい深いものでありました。ちなみに、いくつかあるどんこ船の事業会社の違いは、船の色を見ればわかるのだそうで。
どんこ船は夕日の方向へ向かった後すぐに左へ転じ、少し南下した後に右側の狭い切れ目から細い堀へ進入していきました。左右はホント民家の裏手といった感じで生活感丸出し、ですがこれはこれで極めて風情を感じます。昔まだ橋がそんなに架かっていなかった頃は、自家用の小さい船をめいめいの家庭で持っていて、反対の岸に渡るにも使ったのだそうで。また、庭から堀に下りる階段のような跡が散在していて、それは船に乗るなどの他、堀の水で洗濯する時などにも使ったんだそうです。
見上げると、岸の上には柳の木、それと花をつけている桃の木なども点在しており、時には木々の下をくぐるのもイイ感じ。それにしても夕暮れが迫りつつある時間帯とはいえ、この街は本当に静かです。たまに大きい道路の下をくぐる時にクルマの走行音が気になる程度。
町出身の詩人である北原白秋にちなみに、岸には詩文を彫った記念碑が点在しています。船頭さんは抑揚のある声でそれをそらんじます。また大きい橋をくぐる時、船頭さんは古賀政夫などの唄を唸ります。天然のエコーが効いて、これまたエエ感じ。白秋の記念碑の他にも、「まちぼうけ」の女の子の像や河童の石像などが岸に置かれており、観光客を出迎えています。
我々が乗船した時間帯がまたいいタイミングだったらしく、上々の天気である今日などは昼間はかなり暑く、お客さんもぐってりしてしまうとのこと。雨なら雨で、カッパを羽織って雨天決行、これはこれでお客さんも大変なのだそうで。また昼間は堀にどんこ船が連なり、さながら渋滞の様相を呈することもある、と。我々の前方には同じツアーの客が乗った船が一艘、後方には何も見えません。たまに「上り」方向で空の船を移動させる船頭さんとすれ違う程度です。
他、テニスで有名な柳川高校のそばを通ったり、立派な建物である市庁舎を望んだりしながらどんこ船は進んでいき、とうとう降船所にたどりつきました。船頭さんの最後の挨拶に、客一同で盛大な拍手。降船所は御花という施設の一部で、そこを抜けてちょっと歩くと、広場で先回りしていたバスが待っていました。