sinkope is not kind of paradoxical existence

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「鏡が左右を逆にするのに上下を逆にしないのは何故?」を説明せよ

このあたりに触発されて、ワシの持論をまとめておくコトにしますです。


STEP-0 準備
割り箸と輪ゴムを使って、十字架を作ります。作った十字架に、4色で4つの先っちょに着色します。例えば、時計の文字盤で考えて12時の部分を黒、3時の部分を赤、6時の部分を青、9時の部分を緑に塗るとします。


STEP-1 水平篇
まず、色の対応表を作ります。
 黒:北
 赤:東
 青:南
 緑:西
次に鏡を床等の水平な場所に置いて、その上に先ほどの十字架をかざします。
まず本物の十字架ですが、(方角そのものが合っているか別にして)黒が北、赤が東‥‥と、互いの位置関係は合っていますね?
次に鏡に映っている十字架を見てみましょう。やはり、黒が北、赤が東‥‥と、本物と同じように位置付けられています。


すなわち、(この4つの先端の互いの位置関係に関しては)反転はしていません。
OK?


STEP-2 垂直篇
では次に、鏡台等の垂直に立てられた鏡で、同じようにやってみましょう。今度は色の対応表を次のようにします。
 黒:上
 赤:右
 青:下
 緑:左
さて、十字架を鏡の前にかざしてみましょう。
まず本物の十字架。黒が上に、赤が右に、青が下に、緑が左に来ています。当たり前ですね。
次、鏡の中の十字架。黒が上、赤が右(!)、青が下、緑が左(!)‥‥おや、本物と同じように、右は右に、左は左にあるじゃありませんか。


つまり、上下も左右も反転していません。
‥‥OK?


STEP-3 予想される反論への反論
しかし、恐らくこういう反論が出るのが容易に予想出来ます。
「だって、『┌』って形を紙に書いて鏡に映せば、『┐』になってるじゃないですか」
ふむ、それが世間一般で言う「左右反転状態」ですね。


でもちょっと待って下さい。それって本物を見る時に、「裏から見て」いませんか?
「は?」
つまり、「鏡側から覗いた『┌』と、視線を反転させて鏡側を覗いた『┐』を比べ」ていませんか?
「‥‥‥‥」

例えばこうしてみてください。半紙を用意して、マジックで『┌』を書きます。裏まで染みちゃうと思いますが、ここでは寧ろそれがポイント。書いた『┌』を「こちら側から正しく見えるように」鏡の前にかざしてください。‥‥ね、鏡の中も、『┌』でしょ? 左右はやっぱり反転していません。

「‥‥よくわかりません。じゃあ何が反転しているのですか?」


STEP-4 反転しているのは何か?
結論から言うと、鏡はその面を境にして、鏡の面に対して垂直方向を反転させています。
例えば鏡台の前に立っているとすると、上下や左右は反転しておらず(STEP-2の通り)、前後方向が逆になっています。手を前に出せば、鏡の中の手はこちらに向かってきます。
あるいは下図のように、鏡面の前に飛んでる虫が、上下左右、前後に移動する様を考えると、解り易いと思います。


『┌』と『┐』の話は、前項で述べたように、視点が変化してしまっているので、(少なくとも「左右が反転」というのは)正しい認識ではありません。平面上に書いた文字や記号について言えば、左右(や上下)が反転しているのではなく、裏側に染み込んだ形を反対から見ている、と考えた方がいいでしょう。すなわち、視点が表側から裏側に回りこんだわけで、鏡面に対する垂直方向の反転という説明に合致します。
これを先の十字架で説明する簡単な方法があります。十字架にもう1本割り箸を追加して、「上下左右前後」となるような6方向のオブジェを作るのです。それを鏡台の前にかざすと、上下左右は鏡の前も中のも同じ方向にあり、前後だけが反転しているのが確認出来るでしょう。


STEP-5 「左右反転」となってしまう理由
前項で『┌』と『┐』となってしまうのは、視点が反転しているせいだと書きました。しかし、何故「左右方向」へ反転している(ように見える/感じる)のでしょうか?
これは、無意識のうちに人間が行う視点移動の動作が関係しています。
基本的には、半紙の裏側を見た『┐』は、鏡の向こうでも『┐』なので、反転はしていません。しかし、このSTEPで問題にしているのは別の話なので、それはさておきます。
その半紙を、今度は鏡側から見ます。つまり、半紙の表側に書かれた『┌』が見えているハズです。では、それを映した鏡側を見てみることにしましょう。身体をひねり、反対側を見ます。はい、鏡の中には『┐』がありますね。ホラ、左右が反転に‥‥
ここ! ここ大事です。今、鏡の中を覗くのに、身体の向きを変えました。この時貴方は、水平に身体を回転させませんでしたか?
「え、当たり前じゃないですか。じゃあどうしろと?」
んー、例えばですね、こうしましょう。(よくある水平の)鉄棒を用意して、そこにグイっと手をかけ身体を乗せます。そして、クルンと頭を下にするように、半転します。足が上に、頭が下に来て、鏡を覗ける状態になりました。
さてここで、例の記号はどのように見えるでしょう?
『└』
ほらね。『┌』が『└』になりました。左右は反転しておらず、上下が反転しました。


かように、人間は視点を逆側に向ける時に、水平に身体を回すのが基本となっています。逆さ富士を見るように股の間に顔を出す人は、あんまりいません。『┌』の鏡像をイメージする時も、無意識のうちに身体を水平に回し、『┐』としているのです。それが、「鏡は左右を逆にする」という認識の元になっているのです。
※紙に書いた図画が水平反転する事象に限って言えば、「紙を裏返す作業を水平にやってるから」という説明もアリだろう。STEP-3 の最初の図ではまさに水平に裏返していて、もしこれを垂直に裏返して鏡にうつせば、元の絵は上下のみが逆になる。


STEP-6 まとめ
・鏡はその鏡面と並行な方向に対しては、反転させない。
 上は上、下は下、右は右、左は左に、各々映る。
・鏡はその鏡面に垂直な方向に対してのみ反転させている。
 鏡台の前で手を鏡方向にやれば鏡の中はこちらへ、
 手を引っ込めれば鏡の中では向こう側へ動く。
・紙に書いた文字等を比べる時、人は無意識のうちに
 「鏡側から見た(本来は反対側の)面」と
 「鏡側*を*見た(鏡に映っている)面」を比べてしまう。
 この時、人の視線は180度変わってしまっている。
・視線を180度変える時、人は無意識のうちに姿勢を水平方向(ヨー方向)へ回している。
 その為、「左右反転」という認識が発生しやすい。
 股ぐらから覗くようにすれば(ピッチ方向で逆を向く)左右は反転せず上下が反転する。


図は小さいメモ用紙に殴り描いたヤツなので、下手になっててスマン。
字が下手なのは元からですがー(汗