sinkope is not kind of paradoxical existence

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けろーん

「Interstellar 5555」、DVDで持っているとは言ったが、そうか後年Blu-rayでも再発したのか……う、うーん……ぃゃぃゃぃゃ


さて、Daft Punkの代表作たる名盤「Discovery」の中でも最たる有名曲といったらやはり「One More Time」ですよね。
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そしてこの曲を語る上で欠かせないのがAuto-Tuneという存在。
https://www.antarestech.com/products
これは音楽制作においてボーカル等のピッチを修正するソフトウェア。要するに音痴に歌ってもビタっと正しい音の高さに修正してくれるのね。
いにしえの時代はアイドル歌手の安定ままならぬ歌唱をポストプロダクトの過程で謎の職人技で直してたってハナシも噂で聞きますが、それをほぼほぼ自動でやってくれる。
これは出始めの頃に存在意義や歌手としての矜持としてアリかナシかの論争を生んだワケなのですが、もはや登場から四半世紀が過ぎ、すっかり一般化されております。いまや同種の競合ソフトもそこそこある。
この種のソフトによるピッチ補正においては、掛け始めのタイミングや強度などが設定可能で、あんまり「キツく」かけるとクロマティックに階段状な音程の上下をしてしまうんですね。これを最近では「ケロケロボイス」などと呼んだりもします。当然「自然な歌唱」を目指すのであれば避けなければいけない「掛け過ぎ」な状態なんですが、これを逆手にとって「効果」として扱う事例が出てきました。初期の有名どころではCherの「Believe」ですね。
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キャリアとしては後ろでの楽曲制作に当初あまり乗り気でなかったCherが、このボーカル処理をいたく気に入り、結果グラミー受賞にまで至るメガヒットになったというのは良いハナシ。
日本においてもPerfume等ピッチ補正によるケロケロ効果を前面にフィーチャーして利用してる例は多いですね。
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自分の経験では、ピッチ補正ソフトで最初に触れたのはYAMAHAのPitch Fixで、手元にあった女性ボーカルトラックに適用してみたところ、(無補正でも充分上手いと思ってたんですが)目に見えて(耳に聴こえて?)効果が出てビックラこきました。その後SONAR時代にV-Vocalの恩恵を受け、現在はCubaseのVariAudioで遊んでおります。単にピッチ補正だけでなく、コーラストラックをコピって3度ズラしたトラックを作ったりと、DAW付属程度でも結構やりたい放題。サンプラーの場合は上のピッチで再生するとスピードも速くなっちゃうのですが、この手のソフトはスピードは変わらないし、なんならフォルマントの調整も入れられるし、再生タイミングも調整出来るしで、自然に仕上げたり逆に飛び道具的に使ったりと、応用広くて大変良いです。
近年のAutoTune競合の一角はMelodyneでしょうか。
https://www.celemony.com/ja/melodyne/what-is-melodyne
「ん?ココのギター、Emでレコーディングしちゃったけど、Eの方がカッコイイかもな」って時に、オーディオ編集でGだけ半音ヒョイっと上げられる、っていう……なにそれこわい。


さて、ロボット的な声になるボーカルエフェクトといえば、歴史的にはボコーダーという存在も忘れてはいけません。
ボコーダーってなんやねん、という向きは、この辺りを聴いてみましょう。
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冒頭話題に出たDaft Punkの「Discovery」で言うと、「One More Time」がAutoTuneによるものだった一方、「Harder, Better, Faster, Stronger」はボコーダーですね(たぶん
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ボコーダーの原理はAutoTune等のピッチ補正によるケロケロボイスとは根本的に違います。
ボコーダーでは2つのオーディオ入力を元に、それをミックスしたような効果を与えます。前掲例ではシンセの音で喋ってるように聞こえますが、これはシンセ音とボーカル音の2つを元にしていて、前者をキャリア、後者をモジュレータと呼びます。モジュレータは複数のバンドパスフィルタによって周波数成分が解析され、ボーカルなら声としての特長的成分が残るイメージです。キャリア側もバンドパスフィルタに通され、こちらは音程や音色の成分が残ります。キャリアにモジュレータの成分を反映させる形で合成させると、キャリアの音でモジュレータの喋りが鳴ってるようなるワケです。バンドパスフィルタのバンド数は多ければ多いほどモジュレータの内容が精緻に反映させられるので、この数が性能のひとつの目安になります。但し、明瞭だから絶対イイかってぇと、少ないバンド数で出る音も魅力になりうるケースは少なくないので、絶対といういワケではないですね。あと、キャリアに使う音色は、なるべく倍音豊かなストリングス等の音色を使うと喋りが明瞭になります。
かつてボコーダーはハードウェアとしてのシンセサイザーで作られ、現行でもそのような形態の機種があるのですが、
microKORG XL+ - SYNTHESIZER/VOCODER | KORG (Japan)
こちらもソフトウェア化が一般化しており、有料無料を問わず様々なものがネットから入手可能です。多くはVSTプラグイン形式となっており、自分が使っている無料ソフトもその形式です。
TAL Software
これは、キャリアを内蔵した実装で、Cubase等のDAWであればモジュレーターにしたい音声トラックにVSTエフェクトとしてinsertし、別のMIDIトラックを立ち上げて送信先にtal-vocoderを指定します。で、喋りながら(あるいは音声トラックを再生しながら)MIDIでノートを与えると、いわゆるボコーダー的音色が得られます。tal-vocoderの設定でステレオ左右を各々キャリアとモジュレータとして食わせるモードもあり、その場合は好きな音色をキャリアとして使えます。タダでコレ出来るのすごいな~。


ところでAutoTuneはiOSのアプリにもありますね。いい時代やのぉ。